物流総合効率化法をわかりやすく解説|法律を守るための対策も紹介
物流業界の環境が激変するなか、2024年5月には「物流総合効率化法(改正法)」が成立しました。
これまでは「努力義務」であった物流の効率化が、一定規模以上の企業に対しては「法的義務」へと格上げされ、荷主企業にもこれまで以上に重い責任が求められるようになっています。
この記事では、新しくなった法律の内容をわかりやすく解説するとともに、企業が守るべきルールや対策を進めるポイントをご紹介します。
コンプライアンスを遵守し、安定した物流網を維持するための参考にしてください。
Contents
「物流総合効率化法」とは?改正の背景と目的をわかりやすく解説
「物流総合効率化法」とは、正式名称を「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」といいます。
かつては個別の企業がバラバラに行っていた工程を一つにまとめ、無駄を省く取り組みを国が支援するための法律です。
「物流総合効率化法」とは
この法律では、以下の3つを一体化させて進めることが定義されています。
- 積載効率の向上等:
1回の運送でトラックに積載する貨物量を増加し、走る回数を減らす - 荷待ち時間の短縮:
ドライバーが到着した時間から荷役等の開始時間までの待ち時間を短縮する - 荷役等時間の短縮:
荷役(荷積み・荷卸し)等の開始から終了までの時間を短縮する
改正法(物流流通効率化法)で注目すべき3つのポイント
2024年の改正により、以下の点が大きく変更されました。
- 荷主の義務化:
物流効率化を「物流業者任せ」にできなくなった - 多重下請けの是正:
適正な運賃交渉や実運送図書の作成が求められるようになった - 現場の負担軽減:
荷待ち時間や荷役時間の削減が強く求められるようになった
なぜ「努力義務」から「義務」へと変わったのか
これまでの効率化への取り組みは、「できればやってほしい」といった努力義務でした。
しかし、現場の努力だけでは物流崩壊を防げないという強い危機感から、一定規模以上の荷主や物流事業者に対し、具体的な取り組みが「法的義務」として課せられるようになったのです。
「物流2024年問題」との深い関係
2024年4月からドライバーの残業時間に上限が設定され、輸送能力が不足する「2024年問題」が現実のものとなりました。
このままでは「運びたくても運べない」といった事態に陥り、経済が停滞してしまいます。
そのため、物流の効率化はもはや一企業の目標だけでなく、社会全体を維持するために避けられない課題となっているのです。
荷主企業が知っておくべき「物流総合効率化法」の具体的なルール
今回の法改正で特に注意が必要なのは、一定規模以上の荷物を取り扱う「特定事業者」への指定項目です。
指定された企業には、厳しい管理体制が求められます。
特定事業者(一定規模以上の企業)に課せられる中長期計画の策定
「特定事業者」に指定されると、物流効率化に向けた「中長期計画」を作成し、毎年度の進捗を国へ報告する義務が生じます。
| 特定事業者の種類 | 指定基準値 | 指標の算定方法 | 指定基準値の根拠 |
| 特定第一種荷主 | 取扱貨物の重量:9万トン以上(※1、※4) | 各年度において、貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者に運送を行わせた貨物の合計の重量 | 取扱貨物の重量が多い順に対象とし、全体の50%をカバーする基準値及び対象事業者数を算出 |
| 特定第二種荷主 | 各年度において、次に掲げる貨物の合計の重量(※2) ・自らの事業に関して、運転者から受け取る貨物・自らの事業に関して、他の者をして運転者から受け取らせる貨物・自らの事業に関して、運転者に引き渡す貨物・自らの事業に関して、他の者をして運転者に引き渡させる貨物 | ||
| 特定連鎖化事業者 | 各年度において、次に掲げる貨物の合計の重量(※3) ・当該連鎖化事業者の連鎖対象者が運転者から受け取る貨物・当該連鎖化事業者の連鎖対象者が他の者をして運転者から受け取らせる貨物 | ||
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両台数
150台以上 | 年度末において保有する事業用自動車の台数 | 輸送能力が多い順に対象とし、全体の50%をカバーする基準値及び対象事業者数を算出 |
| 特定倉庫業者 | 貨物の保管量
70万トン以上 | 寄託を受けた物品を保管する倉庫において入庫された貨物の年度の合計の重量 | 保管量が多い順に対象とし、全体の50%をカバーする基準値及び対象事業者数を算出 |
※1:事業者としての全体の取扱い貨物の重量ではなく、第一種荷主、第二種荷主、連鎖化事業者それぞれの立場での取扱貨物の重量を指す。
※2:自らが貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者に運送を委託するもの(第一種荷主の立場)や、自らが貨物の受渡しを行う日・時刻・時間帯を運転者に指示できないものを除く。
※3:連鎖対象者(フランチャイズチェーンの加盟店)が貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者に運送を委託するもの(第一種荷主の立場)や、連鎖対象者との定型的な約款による契約に基づき受渡しを行う日・時刻・時間帯を運転者に指示できないものを除く。
※4:軽い重量の貨物を取り扱う発荷主となる業種や、卸売業、小売業等の着荷主となるケースが多い特殊性を有する業種においては、重量を把握することに多大なコストがかかることが想定されるため、重量の算定に当たっては、例えば、下記の算定方法を用いることを可能とする。
- 商品マスタ等において重量のデータを集計することが可能な場合にあっては、当該システムに登録されている重量を元に換算する
- 容積を把握している場合においては、1立方メートルあたり280kgとして換算する
- 輸送するトラックの最大積載量を貨物の重量として換算する
- 売上金額や仕入金額を基に貨物の重量を換算する 等
参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト|特定事業者の指定
物流統括管理者(CLO)の選任とその役割
特定事業者は、物流部門の責任者として「物流統括管理者(CLO)」を選任しなければなりません。
これは現場担当者ではなく、経営判断ができる「役員クラス」が担当する必要があります。
CLOの主な役割には、以下のような項目が挙げられます。
- 中長期計画の作成
- トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備
- その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務
1)定期報告の作成
2)貨物運送の委託・受渡しの状況に関する国からの報告徴収に対する当該報告の作成
3)事業運営上の重要な決定に参画する立場から、リードタイムの確保、発注・発送量の適正化等のための社内の関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制の構築
4)トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のための設備投資、デジタル化、物流標準化に向けた事業計画の作成、実施及び評価
5)トラックドライバーの運送・荷役等の効率化に関する職員の意識向上に向けた社内研修等の実施
6)物資の保管・輸送の最適化に向けた物流効率化のため、調達先及び納品先等の物流統括管理者や物流事業者等の関係者との連携・調整
参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト|物流統括管理者(CLO)の選任
義務違反に対する勧告・公表・罰則のリスク
取り組みが不十分な場合、国から勧告や指導が行われます。
改善が見られない場合は立入検査や社名の公表などが行われ、最大で100万円以下の罰金が科せられることもあります。
何より、コンプライアンス違反として社会的な信用を失うリスクがあり、企業にとって計り知れない損失となるでしょう。
物流総合効率化法を守りながら事業を継続するための3つの対策
法律を遵守しながらスムーズに事業を続けるためには、これまでのやり方を見直す必要があります。
積載率の向上と「共同配送」の検討
トラックの空きスペースを減らすことが、法改正対策の第一歩となります。
自社単独での配送にこだわらず、同じ方面の荷物を持つ他社とトラックをシェアする「共同配送」は、積載率を大幅に向上させる有効な手段です。
荷待ち・荷役時間の削減に向けた現場オペレーションの改善
ドライバーの拘束時間を短縮するため、トラックの予約受付システムの導入や、パレットの標準化(T11型など)を進めることも大切です。
特に「荷主側での待機時間削減」は、改正法においてもっとも厳しくチェックされるポイントの一つです。
DXの活用による物流データの可視化と報告体制の構築
「どの車両が何時間待機しているか」「積載率は何%か」を数値で把握しなければ、国への報告書が作成できません。
運行管理システムなどのデジタルツール(DX)を導入し、常にデータを蓄積できる体制を整えておきましょう。
物流総合効率化法への対応なら東亜物流にご相談ください
複雑化する法規制への対応を自社だけで完結させるのは、莫大なコストと手間がかかります。
東亜物流では、荷主様のパートナーとして最適なサポートをご提供します。
複雑な法規制への対応を一括サポート
東亜物流は、最新の法改正に基づいた物流コンサルティングを行っています。
特定事業者の要件確認から、中長期計画の策定支援まで、専門的な知見から二人三脚でサポートいたします。
共同配送と高度な配車システムによる「圧倒的な輸送効率」の実現
物流総合効率化法において、荷主企業がもっとも頭を悩ませるのが「積載効率の向上」です。
自社単独での配送でトラックの空きスペースが埋められずに困っている方には、東亜物流が長年培ってきた「共同配送プラン」がおすすめです。
- 1都3県のネットワークで積載率を最大化:
6つの配送ハブセンターと2つの共同配送集約センターを拠点に、同じ方面に向かう複数の荷物を1台のトラックに集約します。 - 小口配送でもキロ単価でコストを最適化:
1個口からの少量配送でも、配送ルート内なら翌日配送できます。 - 環境負荷の削減にも貢献:
共同配送によってトラックの総台数を減らすことは、そのままCO2削減に直結します。当社ではCNG車(天然ガス自動車)や低公害トラックも導入しており、企業の環境対策もバックアップします。
独自の高度な配車システムと、経験豊かなドライバーによる対応力で、ルールに則った持続可能な物流体制を目指します。
リソースをコア業務へ集中させることが可能
物流総合効率化法への対応は、経営層や管理部門にとっても大きな負担となります。
特にリソースが限られた中小事業者様にとって、これらの管理実務を自社だけで完結させるのは難しいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、東亜物流の「物流はじめてプラン」です。
- 入荷から配送までを丸ごとアウトソース:
在庫管理や伝票作成、梱包などを一括でご依頼できます。貴社の負担は入庫指示と出荷指示の2つだけで、メールやFAXで簡単にやり取りが可能です。 - 使った分だけコストが発生する変動費制:
倉庫スペースは「坪単価」でのご契約。固定費だった家賃や人件費を変動費に変えることで、経営体制を大幅に強化できます。 - リアルタイムな在庫の可視化:
当社の在庫管理システムは、24時間365日、PCやスマートフォンからリアルタイムに在庫状況を確認できます。高いセキュリティ(ISO27001取得)のもとでデータ管理を行っており、正確な実績把握が可能です。
まとめ
物流総合効率化法の改正は、日本の物流を維持するための大きなきっかけとなるものです。
管理業務が増える負担もありますが、これを機に物流を最適化できれば、長期的なコスト削減や企業価値の向上にもつながります。
「法改正への対応をどう進めればいいかわからない」「管理業務が負担になっている」とお困りの際は、ぜひお気軽に東亜物流までご相談ください。
法対応から現場の効率化まで、プロの視点から最適な解決策をご提案します。



